君の体温
<前回までのあらすじ>
早稲田学祭のライブに参戦するも運営の紙対応により怒りボルテージMAXのakiRaであったが、乃木坂46のライブそのものが神がかっており最高だった為、気持よく帰路につく。
電車に揺られながら先輩とライブをおさらいしていると2日後に全国握手会という催しが開催されることを告げられ、速攻で行くことを決意した。
<前回までのあらすじ終了>
2014/11/3(月・祝)
akiRa全国握手会参戦の日
パシフィコ横浜は中学生時代にNIKE主催のバスケットイベントに参加した時以来に来た場所であり、ある意味自分の青春の思い出の地であったのでアイドルと握手するために来るのは違和感があった。
しかし、あのキレイな橋本奈々未を近くで見れるだけではなく握手まで出来るという喜びが圧倒的に強いため、横浜駅で乗り換えの時には遠い青春は忘れ去られた。
そろそろみなとみらい駅に到着するという電車内で私は貧乏ゆすりが止まらなかった。
普段緊張などしないタイプなのだがどうしても緊張してしまう。
その理由としてキレイな、自分の憧れの人にこれから会うということ、全国握手会は乃木坂46のメンバーが2人1組になって開催されるものであり、早稲田学祭のライブからたった2日間で乃木坂46のメンバーをどんな会話でもできるように個人個人のキャラクラーを覚えることは不可能だった私にはもうひとりのメンバーと何を話していいのかわからないからだ。
さらに私、先輩、先輩彼女のこの3人は推しが被っていなかったため私は初の全国握手会は一人でレーンに並んで握手をして戻ってくるというなかなかハードルの高いミッションだ。
そして8福神の顔をなんとなく覚えて、メンバーの名前だけはとりあえず覚えただけの私はレーンの組み合わせの発表がweb上でされているとは知らず、先輩が会場に入る直前教えてくれた。(もっと早く教えて・・・)
当日の組み合わせは以下のとおりである。
(当時は個人レーンなどは無く、研究生は研究生同士で最後の2レーンに固まっていたためこんな組み合わせになっている。懐かしい。)
●第1レーン:斎藤ちはる×西野七瀬
●第2レーン:白石麻衣×樋口日奈
●第3レーン:伊藤かりん×深川麻衣
●第4レーン:川後陽菜×橋本奈々未
●第5レーン:松村沙友理×和田まあや
●第6レーン:秋元真夏×北野日奈子
●第7レーン:能條愛未×若月佑美
●第8レーン:生田絵梨花×畠中清羅
●第9レーン:衛藤美彩×川村真洋
●第10レーン:高山一実×大和里菜
●第11レーン:伊藤万理華×星野みなみ
●第12レーン:齋藤飛鳥×新内眞衣
●第13レーン:中元日芽香×永島聖羅
●第14レーン:中田花奈×堀未央奈
●第15レーン:井上小百合×斉藤優里
●第16レーン:相楽伊織×鈴木絢音×寺田蘭世
●第17レーン:伊藤純奈×佐々木琴子×山﨑怜奈×渡辺みり愛
「川後陽菜ちゃん・・・ふむ。顔はわかる。」
ひたすら悩んだ。
「まずいぞ、情報がまったくない、と言うかggってもあまり情報がない。」
「何だ「川後P」ってどうやって話を持って行っていいかわかんねーよ。」
会場に着くや否や橋本奈々未さんに会いたいからレーンに並んでしまってもう動画を見ている暇もない。
うむむ、ここは申し訳ないが適当にに応援してます、可愛いですね、でお茶を濁そう。
そうやって並んでいると今じゃ考えられないくらいスカスカだった全国握手のレーンではすぐに私の順番が来た。
握手会ではかばんを下げての握手が認められず、握手する手前で荷物をかかりに預け、チケットを渡して握手をする。
並んでいる所からメンバーを見ることができないようにしきりがあり、仕切りの横から入ってメンバーを初めて見ることができるようになっている。
握手会の時間は3秒くらいの短さと先輩から聞いていたため、頭の中で何回も何回も言いたいことを復唱する。
今でもそうだが、私は握手する手前のメンバーの顔が見えているタイミングが一番緊張してしまう。
ついに!来てしまった!この瞬間が!
荷物を置いてしきりの横に立つと目の前には橋本奈々未さんがいた。
ライブでも実際に双眼鏡でお顔を拝見したがこんなに可愛いのかと衝撃を受けた。
間近で聞く声は自分の頭の中の3倍かわいい、
テレビで見るよりも遥かに細い体、
顔なんて実際に見る予想よりひと周り小さく、肌がきめ細かくパッチリした目でとんでもなくかわいい!
クールな外見のその印象とは違って優しい顔で笑っていた。
私の番になり優しい笑顔を崩さず、体温がわかる程度の触れているだけのような優しい握手は今も忘れられない。
私が初めてした会話はメモしていないが、覚えている。
a「はじめてきました!早稲田の学園祭見に行きました!」
橋「わー!ありがとう!私見えた?笑」
a「バッチリ!双眼鏡持って行ったので!」
橋「用意いいね笑」
a「あははっ笑ではまた」
橋「またね」
当たり前だが会話が成り立ったことに感動すら覚えた。
私は橋本奈々未さんを他のMVで知ったが、アイドルであることを中心に話をしたほうがいいだろうと判断して会話の内容に学祭のライブを選択した。
なんて可愛いんだ、最高かよ。世の中こんなにかわいい人がいるのかと悦に入った次の瞬間悲劇は起こった。
橋本奈々未さんとの会話が成立したことに安心しきってしまった私は次に他のメンバーがいることをすっかり忘れてしまっていた。
川後陽菜ちゃんと握手をして思考回路が止まった。
川「こんにちは」
a「・・・・・・ァ」
川「?」
剥がし「・・・お時間でーす」
最悪だあああああああああああああああ!
この時の川後陽菜ちゃんの悲しそうな顔もしっかり覚えている。
そしてこのときはメンバーがちょうど755アプリを始めた頃だった為、私と握手した直後のメンバー休憩中に川後陽菜ちゃんの755にはこんなことが書かれていた。
「会話の内容がない人はこんなことお話してください。◯◯◯◯、◯◯◯◯◯」
生まれて初めての握手会で生まれて始めての事故だった・・・。
いまでも実は全握の時にちょこちょこ川後陽菜ちゃんの所に行くことがあるのだが、あの時の事故を忘れないで楽しもうということを忘れないための自分への戒めでもある。
そんな初めての握手で目的に対しては大満足で終えて現場の中で先輩達を待った。
それぞれの推しメンがかわいいと自慢してお互いの満足感を更に広げていく。
その日の全国握手会はなぜか握手のあとにミニライブという形式をとっており、最後のライブもしっかり見て橋本奈々未さんの名前を叫んだ。
そしてライブも含めて全てのイベントが終わって私は先輩にこう言った。
「やることはとりあえず全部やりましたね。もう大丈夫です。」
そう私は満たされたのである。憧れとも言える人に間近で会い握手することができた。
その思い出だけで十分であると判断した。
しかし、1個だけ先輩に不満を漏らしていたことがあった。それはちゃんとしたライブ会場でライブを見てみたいということだった。
それだけ見て私は乃木坂46とはおさらばしようとこの時は本気で思っていた。
先輩に聞かないとどんなイベントが控えているかも分からなかったが今回のミニライブではサプライズ発表があった。
アンダーライブ2ndシーズンファイナル 有明
Merry Christmas Show 有明
ちゃんとした場所の初めての本格的ライブ、乃木坂46の本気を見て私はアイドルとの関わりを断とうと決心した。
そして、話は伝説のアンダラファイナル有明に続く