有明が泣いた、君は笑った
<前回のあらすじ>
憧れの人である橋本奈々未さんとの初めての握手会を終えたakiRaは橋本奈々未さんレーンのペアである川後陽菜ちゃんと人生初の無言で対面という事故を経験した。
一通りのイベントに参加して満足したakiRaはアイドルとの関わりを最後にしようと決めていた。
ライブに握手、もうやるべきことはやった。
しかし、ちゃんとしたライブを経験した事がないままはもったいないと思った。せっかくライブでの一体感による気持ちよさを知ることができたのでその一体感だけ最後に感じたい。
そうしてアンダーライブ2ndシーズンファイナルに参戦を決める。
<前回のあらすじ終わり>
2014/12/12(金)
楽しかった握手会から一ヶ月と10日ほど後の平日。
世の中はクリスマス気分になっており、街もイルミネーションに染まっていく。
そんな世の中から逃げるように平日に有給を取得してアイドルのライブへと向かう。
もちろん予想していなかったわけではないが、今回のライブ会場有明コロシアムもガッツリクリスマス気分だ。(後日クリスマスライブがあるので当たり前だが)
吐く息はまだギリギリ白くない程度の気温だが手が冷たくなっている。
待ち時間の辛さがより増している中でモチベーションが下がっていたら簡単に心が折れそうだった。
しかし、前回の反省を活かして今回は表題曲を完璧に頭に入れての参戦のためモチベーションははるかに上がっていた。
先輩にもコールを入れるタイミングを教えてもらって表題曲は頭に叩き込んできた。
さらに乃木坂46には「乃木坂ってどこ?」というレギュラー番組があるらしく先輩が録画していたお気に入りシリーズを貸してもらってちらっと見てきた。
それぞれメンバーのキャラクターが分かりそうなものをチョイスしてもらったので把握もしてきた。
できるかぎりの万全の準備をして最大限ライブを楽しむ体制を整えた私のモチベーションは簡単には下がらない。
ペンライトも借りてメンバーの色をしっかり調べた。
私の憧れの人である橋本奈々未さんはアンダーライブには参加していないため、少し興味のあった中元日芽香ちゃんの色をつけられるようにペンライトをセッティグをする。
余談だが今回のアンダーライブは今までで最大規模の会場で行われる。
それまで800人だった会場2ndシーズンのアンダーライブは一気に10倍に人数を増やし、8000人の観客を収容できるまでに成長した。
はじめはあまりの人数の変化に埋まるのか不安が囁かれていたが、不安をよそにステージサイドまで用意されるほどの盛況ぶりだった。
(私は全ての抽選にはずれてステージサイド)
時間になって開場し有明コロシアムに入った。
学祭の時とは違う、指定された席を求めて歩いて行くが入った瞬間、私は薄暗い中でライトに照らされたステージに目を奪われた。
ライブに参加した人はわかるかもしれないがセッティングされた舞台を見るだけでテンションが上ってくる。
あのキレイなステージに立つにはステージに負けないくらいのパフォーマンスを見せなければならない、どのくらいのプレッシャーを感じて彼女たちはあそこに立つのだろうか。
いろいろなことを考えて自分の座席を見つけた。
うーん、角度はあるけどほぼ真横から見る形になっている。
私のモチベーションではこの程度なのかもしれないと自分を納得させてライブの開演を待った。
そして、、、その時が来た。
アンダーライブ2ndシーズンファイナル開演
overtureでテンションをブチ上げた後にスタートの曲は
「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」
センターに立つのは井上小百合さん、ステージサイドの天空席でもわかるくらいにTHE・センターとして申し分ないパフォーマンスだった。
最初が絶頂と言っても過言でもない最高のスタートを切った有明の夜は始まったばかりだった。
次の曲は伊藤万理華がセンターの「ここにいる理由」
本当に最高のスタートだった。今でもライブでこの2曲が流れるとテンションが上がってしまうくらい私はこの曲が大好きになった。
次々に楽曲が披露される中で今回の特殊企画が発表された。
今でも語り継がれる「全員センター」
全員センターは全員分を語りたい所だがダラダラしてしまいそうなのでピックアップして紹介をする。
誰が何を歌ったかを知りたい方は下のスタッフブログを見て欲しい。
乃木坂46「アンダーライブ セカンド・シーズンFINAL!」 | 乃木坂46 運営スタッフ 公式ブログ
先ほど紹介したとおり私は中元日芽香ちゃんに興味があったため、彼女のセンター曲をワクワクしながら待っていた。
中元日芽香ちゃんがセンターとして披露した曲は
「ロマンスのスタート」
この曲はMVが本当におしゃれで記憶に残っている。
そして元気な中元日芽香ちゃんの歌声にはピッタリな曲だと思った。
開場内もボルテージが最高潮になって次の曲は沸き曲として知れ渡っている
「ハウス!」だった。
参加した人はわかると思うがこの時は本当に最高のテンションだった。
メンバーも来てくれるファンを全力で楽しませようという気持ちが伝わってきて私の欲しかった会場の一体感がそこには確かにあった。
盛り上がる曲が続いた所で私にとって運命の瞬間がやってくる。
あの時あの瞬間あの場所にいた事は本当に人生の宝物だ。
誰にでもあると思う。勇気付けられる事、救われる事、私にとってそれはこの時だった。
自分がどんな事でどんなときに救われるのかは本当にわからない。
新内眞衣センター
「君の名は希望」
泣きながらのコメントは何を言っているかわからず、盛り上がる曲の後の中しっとりとした曲で、乃木坂46の代表曲と言っても過言ではないこの曲をセンターとして踊るひとりの女の子は有明を感動の涙で包んだ。
確かにあの時の奇跡が起こった。
想像できるだろうか、2期生という立場でまだまだ経験も少ない中、あの曲を8000人の前で真ん中に立って泣きながら踊る女の子の気持ちを。
私には怖くてできない。
その女の子は涙が出るほど不安でも、きっと誰かのために舞台に立つ事を選んだ。
その女の子の涙で私は人生で初めての涙腺崩壊を経験した。
拭いても拭いても止まらない涙に自分でも本当にびっくりした。
私がまだ涙が止まらず服の袖で目の下を拭っている時、涙で自分の顔を染めた後、同じ舞台のうえで彼女は笑った。
彼女の笑顔でもまた私は涙を流してしまった。なんて強いひとなんだろうこの人は。
その後もアンコールが終わるまで最高の時間だった。そして人生で初めてWアンコールというものも見れた。
全ての公演が終わったあと、私の頭の中にあるのは新内眞衣の「君の名は希望」だった。
実際に話しを聞いてみたい。あの時の美しい涙の理由は?これから彼女はどんなアイドルになっていくんだろう?OL兼任アイドルはこれからも続けていくのだろうか?
彼女の特殊な立ち位置、これから先の進路を見守りたい。
きっとこう思ってしまったら負けなのだと思う。私は家に帰り、パソコンをつけて次に個別握手会がある日程を確認した。
あの時の気持ちは変わらず2016年2月28日現在この場に記す。
【akiRaがヲタクになった時:完】