gebokuの日記

日々のアイドルヲタ活動を綴っていきます。

届かなかった_vol1

どこで間違えたのだろう。

何が悪かったのだろう。

 

1秒間のあなたの困った顔に僕は2秒間本気で謝った。

 

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私は人へプレゼントするのがとても好きだ。プレゼントというのはその人に渡ったときにどんな顔をするのか。喜んでくれるだろうか。ツッコんでくれるかな。ちゃんと使ってくれるだろうか。色々な考えをしつつ、どんな物を送るか考える時間がとても楽しい。

 

そんな楽しい時間の中で唯一心配しているものがあった。他の人とかぶってしまった時、どうすればいいのだろう。2つも同じ物をもらって微妙な反応をされたくない。そんな心配をした私はひとつの答えに辿りついたがそれはもう少し後でお話しよう。

 

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時は遡り1年と2ヶ月前、私はアイドルヲタクだった。(今も)

 

1年と2ヶ月前と言えば私が親愛なるアイドルに認知をもらい始め、向こうもめちゃくちゃ対応が柔らかく、無敵に楽しい期間だった。私の感想ひとつを素直に受け取ってくれて「ありがとう」と返ってくる。こちらの言葉に疑いを持たずに喜んでくれるアイドルが本気で好きだ。

 

そんなアイドルに私は感謝している。こんな楽しい瞬間をくれて感想を言えば喜んでくれて可愛い。楽しさに可愛さが乗り、可愛さに更に楽しさを乗っけてくる。これが幸せでなくてなんだというのだ。幸せをくれてありがとう。

 

そんな重なって積もった幸せを少しでも返したかった。あの時の彼女は「来てくれるだけで本当に嬉しいよ」と言っていたけどこちらの気が収まらない。そんな中で握手会会場の片隅にあるインフォメーションの前を通ったときにふと目に入ってきた。ヲタクが何かをインフォメーションに渡している。

 

私は知った。この世界にはアイドルにプレゼントを渡す事ができるというシステムがあるのか。この時は本当に目からウロコだった。

 

早速私は考えた。何が一番彼女にふさわしく、重くなりすぎずに、運営が出している条件をくぐり抜けつつ彼女を喜ばせることができ、私の感謝の気持ちを伝えられるのか。しかし、人と被りたくない。かぶっても邪魔なものになってしまうだけだ。そこで私はひとつの答えに辿りついた。これが前述の被ってしまわないという事の答えだ。それは

”オーダーメイド”

これならば確実に他人とかぶる事もなく率直に自分の気持ちが伝わる物を送る事ができるかも知れない。(思考がぶっ壊れているので初めてのプレゼントとして重いのは考慮できてない)

 

この時は7月だ。彼女の誕生日は1月・・・。半年も期間があるから早めに渡せばきっと1月には手元に届くはずだ。よし、ゆっくり考えよう。そう思って考えてからなににするかを決めるのに1ヶ月かかった。

 

辿りついた答えは

”オルゴール”

 

私は乃木坂の楽曲がとても好きで彼女も乃木坂の楽曲で幾つか好きな曲を挙げていた。その中の曲を選んでオルゴールにし、箱にしてアクセサリーなどを収納できるようにすればそこそこ使えて楽しいものにできるのでは無いかと私は考えた。

 

 

決まればあとは行動あるのみ。片っ端からオーダーメイドのオルゴールを取り扱っている店舗に見積もりの依頼をし、オーダーメイドを取り扱っていなくても装飾だけでもなんとか使わせてもらえないか数店舗に連絡した。どこの店舗にするか、悩みに悩んで結局1ヶ月半かかった。本当にデザインから名入れ、ボックスの中身まで自分でこだわって融通のきくお店を見つけたのでそこにする事にした。

 

さて、デザインが自由にできる店に決まった。だがこのプレゼントはオルゴールだ。先程も言ったとおり私は乃木坂の曲が好きだ。彼女も乃木坂の曲が好きだ。そして彼女に衝撃を受けた曲、彼女と巡りあわせてくれた曲、これしかないと思いこの曲を選んだ。

君の名は希望

オールゴールで奏でるこの曲は本当に優しく勇気付けられる音だった。しかし、ただ単純にオルゴール音にするだけで済むわけがない。私は音を聞かせてもらい音の知識も無いのにもうちょっと高くしてくれ。もうちょっとテンポを遅くしてくれとあれこれ注文をつけた。(もはや厄介)

 

しかし、このオルゴール屋の担当者も何故か途中から熱が入っており逆にアドバイスをくれた。そしてこのオルゴール音源が決まるのに1ヶ月かかった。時は既に10月半ばである。

 

そして実際にオルゴールの中身だ。金属部分には「SHINUCHI」の文字も何パタ-ンか出してもらい筆記体のローマ字を選択。指輪はあまり持ってなさそうだったので指輪の収納は少なくしてネックレスとブレスレット中心の収納にした。オルゴール部分はガラスカバーでキレイな動き、弾いて音が出る所が見れるようにし、周りのボックスはシンプルな木の装飾で優しくした。ここまで決めるのにオルゴール屋と話しながら2ヶ月かかった。

 

そうこうしているうちにオーダメイド作成の完全な枠組みができたのが12月の頭。誕生日プレゼントを渡せるタイミングなんて握手会のある2016年1月30日しかない。想像以上に時間がかかってしまった。しかし、私はこだわった。きっと喜んでくれるに違いない。オルゴール屋も絶対に間に合わせますと言ってくれ通常の1.5倍ほどのスピードで仕上げてくれた。12月の中旬それは私の元にやっと届いた。

 

本当に嬉しかった。ここまで人のために考え込んでプレゼントを用意したことは無い。自分が本当にその人の事を考えて約半年かけて作ったもの。途中から「これかなり重く無いかな?」って気がついていたけれどそれでもオルゴール屋さんも「絶対喜んでくれますよ」と声をかけてくれた。こんなプレゼントで彼女は笑ってくれるだろうか。その自分が半年間ずっと考えて形になった物が手元に来た。箱を開ける事は許されない。未開封のものでないと運営は受け取ってくれないらしい。私はオルゴール屋さんを信じた。

 

 

私は未開封のまま2016年1月30日握手会会場にてインフォメーションに出した。「こちらに該当する物では無いですか?」確認された。しっかりとその欄を読んだ。2回読んだ。間違いない。オルゴールは該当していないはずだ。満面の笑みで私はインフォメーションの係の人に返した。「はい!大丈夫です!」

 

プレゼントにつける紙にもオルゴールと品名を書き、名前も入れた。その日は友達の結婚式だったため彼女の生誕があるが1部1枚だけ誕生日おめでとうを言って会場を後にした。

 

本当に喜んでくれるだろうか。彼女はどういう反応をするんだろう。さすがにキメすぎて気持ち悪かったかな。本当にありとあらゆるパターンの反応を考えた。彼女に話をしてどんな反応をされてもメンタルを正常に保てるようにシュミレーションした。シュミレーションには時間がかかった。通常プレゼントは1ヶ月ほどで届きメンバーは回収できるようになるみたいだが、2ヶ月経っても誕生日プレゼントの話はできなかった。反応が怖かったからだ。

 

そして3月頃、オルゴール屋さんからも「喜んでくれました?」と確認のメールが来ていたりしたのでさすがに届いただろうと思い本人に聞いてみた。

 

a「新内さん誕生日にオルゴールを送りました。」

新「え?オルゴール?オルゴールって音がなるやつ?届いてないかも・・・ごめん」

 

さすがに想定していなかった。届かない?オルゴールだぞ?音がなるだけだ。箱のスペースも充実した使い勝手もよくしたはずだ。届かない?そんなバカな。本気でテンパった。新内さんとの握手でテンパったのはこれが初めてだ。

 

「ごめん」の時の彼女の本当に申し訳なさそうな困った顔。

1枚出しの握手券で5秒中2秒。私は本気で謝った。

「ごめんね、届かないもの選んじゃったみたい。本当にごめん。」

この時、私の声は出ていなかったかもしれない。

 

あんな顔をしてほしかったんじゃないんだ。笑ってほしかった。私は最終的に笑顔を届けたかっただけなのに。長い期間をかけて、私が考えたあの時の感情はひとつも伝える事が出来なかった。手紙も一緒に同封した。それも届いていなかったみたいだ。どんなに長い期間をかけ、どんなに手間をかけても届かなかったそのプレゼントはもうどうしようもない。

 

 

貰ったものは計り知れない幸せと勇気だった。

未だに私は1mmも返せずにいる。

オルゴール屋さんには「届きました、喜んでくれました。」と嘘のメールを返した。

 

 

これが最初の絶望。しかし、いつかほんの少しでも返せる事を信じてまだ新内眞衣を応援していく。

 

 

 

続く